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トルストイの予言Ⅱ

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桃楼お爺さんの大ボラ説法

松居桃楼

Tolstoy's ProphecyⅡ

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松居松 翁

編集 稲妻龍

「神の王国は汝らのうちにあり」より

■人類はなぜ戦争を繰り返すのか?

  汎知性(パン・ソフィア) VS 反知性(パラノイド)

● 最終戦争直前に出現する【 別なもの】とは!
● 人類に残された最後の希望【 Sophe とは!

幻の共同体「蟻の街」の主催者、思想家 松居桃楼
  元祖ファクトフルネス・マインドフルネス・聖書暗号解読・ワンネス……
​ 父 松翁から語り継がれた
トルストイの予言を世界初公開

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神の王国は

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汝らのうちにあり

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​                

 

    

 

 

 

       各国政府の首脳は、「自分らは、すべて平和を欲し 

       ているのだ」と断言し、〈誰がもっとも立派な平和

       愛好の宣言をするのか〉という競争が、彼らの間で

       行なわれている。
       しかし、同じその日、あるいは次の日には、彼らは

       立法会議で軍備拡張案を出し、「かかる予防策を採

       るのは、平和を保証するためにほかならない」と     

       言っている。         E・G・モネ

 

 

 

 あなたは最近どこかで、これとよく似た記事を読んだような気がしないだろうか? 新聞か、雑誌か、単行本で。ところが、これは今から約百年前に、トルストイが書いた〈神の王国は汝らのうちにあり〉(中村融 訳 トルストイ全集15 河出書房新社)の一節なのである。この本は、当時ロシア国内では出版が禁止されたばかりでなく、皇帝アレクサンドル三世は、著者のトルストイを処罰しようと思ったが、それはかえって彼の名声を高めることになると気がついて、やむをえず我慢した――というエピソードまでついている。
 ひとくちに言うと、トルストイは、この本で、徹底的に軍備や戦争を否定して、全世界の国々の国民に、「いっせいに徴兵を忌避せよ」とけしかけているのである。だが、そのことよりも、 むしろ私の好奇心をそそるのは、この本の前半の部分に、一八九○年代のヨーロッパの有識者たちの、戦争に対する種々雑多な見解が、詳細に網羅されていることだ。
 実は、冒頭の文章も、トルストイが引用している〈フランスのE・G・モネの所説〉から抜粋したものだが、彼はまた、次のようなことも述べている。


           

      国民にとって苦痛な軍備に対する抗議は、なにも現代

     《ここでは十九世紀末のこと》から始まったわけではな

     い。モンテスキュー《十八世紀のフランスの啓蒙思想家》

     が、当時書いたものに耳を貸してみたまえ。

     『フランスは(今ならヨーロッパと置きかえてよい)

     ⦅という註をつけたのはモネか? それともトルストイ

     か? 二十世紀末のわれわれは、「今なら全世界は」と

     置きかえたいところである⦆軍人のために滅びるであろ

     う。(中略)

      なぜなら、一国がその軍隊を増強すると、たちまちに

     して、他国も同じようにそれを行うからである。これで

     は結局、全体の滅亡以外なんら得るところはない。(中略)

      人々が平和と呼んでいるのは、万人の万人に対する緊迫

     状態のことなのである』

                シャルル・ド・モンテスキュー

 


      これは約百五十年前に書かれている。⦅もちろんそれは

     十九世紀末からの計算で、現代からは二百五十年前の話⦆

      が、その情景は、現代《十九世紀末》を描いているかの

     ようだ。(中略)当時《二百五十年前》はこう言われた。

     『ああ、もしも国民が、〈政府に対して兵役と納税を拒否

     する権利をもつような人々〉を選ぶことができるなら、軍

     事政策にも終わりが来るだろう』と。
      今《十九世紀末》では、ヨーロッパじゅうのほとんどが

     議会政治だが、それにもかかわらず、軍事支出と戦争準備

     とは、恐るべき比率で増大してしまった。

​               レフ・ニコラエヴィチ・トルストイ 

 

 

 私は、これまでに、この文章をなんども読みかえしたが、そのつど自分が今、二十世紀末の現代に生きているのか、それとも百年前の十九世紀末にタイムスリップしたのか、あるいは、戦争であけくれて、フランス国民を重税で苦しめたルイ十五世の時代の人間になったのか、さっぱり区別がつかなくなるのである。
 だが、このくらいのことで面白がっていてはいけない。〈神の王国は汝らのうちにあり〉には、一八九一年にロンドンでひらかれた、ヨ-ロッパの一流著述家たちによる平和会議の模様が、くわしく報告されてある。しかし、煩(はん わずらわしさ)をさけて、その〈要点を概括している部分〉だけを、ひろい出してみよう。


■この会議の根本思想は、まず第一に、「戦争は人々に

とって大いに不利であり、平和は大きな幸福である」と

いう信念を、あらゆる手段 を尽して、万人の間にひろ

めなければならぬということ。
 

■第二に、「国際裁判の方が、戦争よりもすぐれたもの

であり、したがって軍備撤廃が有利でもあり必要でもあ

ること」を吹きこんで、政府に働きかけねばならぬこと

である。
 

■第一の目的達成のためには、本会議は、歴史の教師、

婦人および僧侶たちに、毎年十二月の第三日曜に、

争の悪と平和とを説くように忠告しているし、第二

目的達成のためには、本会議は、政府に呼びかけて、

「軍備撤廃と戦争に代えるに仲裁裁判をもってするこ

と」提案している。

​        レフ・ニコラエヴィチ・トルストイ


 

 

 今、私は、百年前のこの文章を原稿用紙の上に書きうつしながら、ふと他愛もないS・F漫画のプロットを空想しはじめた。
 

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                                 2   

 


 時は一九八四年の五月。所は東京における国際ペン・クラブの世界大会の会議場。えんえんと続く「この核状況下に、われらなにをなすべきか」という文学者たちのスピーチを聞きながら、なぜかその場にまぎれこんでいたく私〉は、次第に意識が朦朧(もうろう)としてゆく。……やがて、気がついてみると、自分は、百年前のロンドンで開催されたヨーロッパの著述家たちの平和会議の席上にいる。その癖、奇妙なことに、そこで論じられている議題が、一九八四年のそれとそっくりなのだ。

 

 

 

 

 

 


 〈私〉は、もどかしさに耐えられなくなって、その会場からぬけ出す。そして、ある街角で、眼の鋭い、顔じゅうに髯(ひげ)をぼうぼうとはやし、ルパシカを着て、長靴をはいた、農民風な、いかつい老人と、その老人につき添っているひとりの若い女性にであう。〈私〉は、その老人に、現在ロンドンでひらかれている平和会議のむなしさを訴える。すると、老人は苦笑しながら、ひょうきんな話をはじめる。
 『わしは、子供のころ、「小鳥をつかまえるには、その尻尾に塩をふりかけなければいけない」と教えられたことがある。わしは、塩を手に小鳥の方へ出かけた。……だが、すぐ気がついたのは、「尻尾に塩をふりかけられるくらいなら、つかまえることもできるはずだ」ということだった。そして、自分が、からかわれているのを知った……』

 

 

 

 

 

 


 言葉の真意をくみかねて、きょとんとしている〈私〉に、老人はウインクしながらつけ加える。
 『つまり……調停裁判や軍備撤廃についての論文や著書を読んでいる人も、同じことを悟らねばならない……ということさ』
 〈私〉は、この話題そのままの文章を、前にどこかで読んだことがある
――と思う。そして それが、トルストイの〈神の王国は汝らのうちにあり〉の一節だったことに気がつく。〈私〉は、「この老人はトルストイではあるまいか」と考えはじめる。〈私〉は無遠慮に質問する。
 『おじいさんは、世界中の有名人が集まって、会議をひらいたり、団体を作ったり、演説をしたり、本を書いたり、雑誌を発行したって、そのくらいのことで、真の永久平和をうちたてることはできない
――というのですね』
 『まあ、そうだな。……そもそも国家とはなんぞや? 元来は、ひとりひとりの人間が、めいめいの利益をまもるために、力をあわせて、共通の外敵と闘うことを目的として集まった団体ではなかったか。言いかえればひとりひとりの人間の利己主義を、途方もなく拡大したのが国家なのだ。しかも、その〈国家的な身勝手〉を、最大限に具体化したのが戦争だ。……それだのに、その国家を構成する、ひとりひとりの国民が、自分自身の貪欲(どんよく)を正当化したままで、国家だけに「戦争をするな」というのは無理な注文だ』
 『では、そのひとりひとりの国民が、一体なにをすべきなのですか?』
 『まず第一に、〈わがもの〉という観念を一切すてること。したがって、万人にとって必要なものは、すべてが公平に分配される世の中を作ること。そのためには、絶対に〈弱いものいじめ〉のない世の中にならなければいけない。すべての人間が、絶対に如何なる暴力をもふるうことのない世の中にならなければいけない』
 『そんな夢のような世の中が来るなんて、誰も信じないでしょう』
 『だったら、〈世界平和〉などということを夢見るのはよしなさい。〈全人類の福祉〉などということを言いふらすのはよしなさい。……この世の中に、〈神の王国〉が到来するか、しないかは、全人類が真剣になって、それを希望するか、しないかに、かかっているのだ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 老人の声が、次第に大きくなり、雷鳴のようにひびきわたる。急に不気味な雰囲気を感じて、周囲を見まわすと、何十人、何百人、いや何千、何万という群集が、かたずをのみ、眼をかがやかして老人の言葉に耳を傾けている。大部分が、貧しい名もなき庶民たちだ。その中の一人が、おずおずと進み出て、老人の手を握りながら言う。

 『よしわかりました。私は、〈わがもの〉といえるものを何ひとつ持っていませんが、これからは、どんなことがあっても、暴力をふるいません。誰に対しても、〈弱いものいじめ〉は絶対にしません』
 別の人間が、群集をかきわけて前に姿をあらわす。

 『私は、肉食をやめます。すべての動物を酷使しません』
 第三の男が、途方にくれた様子でつぶやく。

 『だが、そうなったら、野菜や穀物を食べることも、〈弱いものいじめ〉になりはしないかね?』
 その素朴な疑問に対して、老人が、なにか答えようとした時に、突然、軍隊が殺到して群集を追いちらす。〈私〉は、その老人と若い女性を助けて、逃げ場を探しもとめて歩いた末に、やっと郊外の小さな駅にたどりつく。
 しかし、疲れはてて老人は、そこで死んでしまう。再び群集があつまって来て、その老人の柩(ひつぎ)を先頭にたてて、軍備撤廃のデモ行進をはじめようとする。そこへ東方正教会の司祭と自称する人物が現れて、行列を阻止して叫ぶ。
『その柩の中の男は、教会から破門された悪魔ですぞ。その老人が説いた〈神の王国〉などを信ずる者は、地獄におちますぞ』
 それを聞いて、はじめから日和見風な態度で、群集の背後にたたずんでいた物知り顔の男たちが、声高(こわだか)にしゃべりはじめる。
 『そういえば、あの男が若いころに書いた小説は面白いが、老人になってからの宗教論や人生論は、正気の沙汰ぢゃあないね……多分耄碌(もうろく)したんだろう。もう、あのじいさんは古いよ』
 群集は淋しく散ってゆく。老人の亡骸は、一切の宗教行事ぬきで、林の中の土鰻頭の下に葬られる。その光景を遠くからじっと見つめている〈私〉の肩を、例の若い女性がそっとたたく。そして、『これから、タイムカプセルに乗って、二十世紀の未来へ飛ぶのですが、同行しませんか』とささやく。

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                  3   

 タイムカプセルの中では、数分と思われる間に、百年近い時がすぎ去ってゆく。

 機内にそなえつけられたテレビジョンの受信装置には、いろいろの重大ニュースがうつし出される。第一次世界大戦、ロシア大革命……そして、第二次世界大戦が始まり、広島と長崎に原子爆弾が落下する。やがて、全世界の人々は、その絶望的な凄惨さに気がついて慄然とするーが、さて、それをどう処置していいか見当がつかない。
 世界中のジャーナリストが、新聞、ラジオ、テレビ、雑誌などを通じて、朝に晩に、核軍備反対、戦争反対を唱える。平和運動家たちが、くりかえし演説会をひらく。宗教家が、平和祈願の行事を催す。学生たちが、校内にバリケードを築いて抗議する。一般庶民たちも、プラカードをかかげて、街をねり廻る。
 『だが、この程度のことで、 刻々と、地球上の全域に、怒涛の如く氾濫してゆく爆撃機や戦車や核兵器の洪水を、くいとめることができるのだろうか?』
 次々に、現れては消えてゆくテレビニュースの緊迫した画面に圧倒されながら、〈私〉は深い溜息をつく。
 その時、誰かが〈私〉の前に立ちふさがって視野をさえぎる。見あげると、その人は、夢の中で出あったあの若い女性によく似ているが、彼女よりはるかにういういしくて、服装も百年前とは大違いの一九八四年型ニューファッションである。その女性は、いたずらっぽい目つきで言う。
 『もう会議は終りましたよ』
 その声で、我にかえった〈私〉は、いつの間にか例の国際ペン・クラブの会場に
戻っている自分を発見する。ただし、あたりには人影もなく、寂漠としている。
 咄嗟には百年という時間のずれを調節しかねて、とまどっている〈私〉をいたわるように、目の前の女性はやさしく語りかける。
 『よろしかったら、気晴しに、私どものスタジオにおいでになりませんか』
 (一体、この女性はなにものなのだろうか?)〈私〉は、彼女のスタジオなるものに、はげしく興味をおぼえはじめる。

 そこは、ある崩れかかった古いビルディングの地下室だった。スタジオの中では、数人のアシスタントがきびきびと働いている。いずれも高校生どまりの少年少女という感じ。部屋の様子から推察すると、どうやら漫画の工房らしい。
 例の女性が、全員を〈私〉に紹介する。意外にも、彼らは〈私〉のことをくわしく知っている。その理由は「〈私〉が、目下製作中のストーリー漫画の登場人物の一人だから」という。なるほど、すでにかきあがっている場面を次々にたどってゆくと……物語りは、まず国際ペン・クラブの会場からはじまって、百年前のロンドンへとタイムスリップする。それから例の奇怪な老人とのであいや、その後、再び現代に帰って来るあたりまでの幻想の数々が、劇的に描写されてある。
 『おや、これは、さっき見た夢にそっくりだが……』
 『そのはずですよ。元来、この物語は、あなたの夢の中から生れたのだから……』
 『すると、これから先は、どんなストーリーが展開することになるのかな』
 『ほら、あの時、「野菜や穀物を食べることも、〈弱いものいじめ〉になりはしないか」と聞いた人があったでしょう……』
 『あの時?……ああ、そうか、軍隊が出動して来て、われわれを蹴散らそうとした時ね……」
 『そうです。あの時の、あの発言こそ、われわれ人類全体が……ことに平和運動を志すものが、真剣に、心の底から反省しなければならない重大なテーマだと思うんです。……どう考えてみても、「戦争はいけない」「人を殺してはいけない」と叫びながら、一方では、「動物や植物を殺すのはやむをえないことだ」とか、「いや、当然の権利だ」と主張するのは、あまりにも不合理ですからね」
 『たしかに、辻つまのあわない論理なんだが……よくよく分析してみると、現代人の多くが、やたらに騒ぎたてる〈世界平和〉も、〈全人類の福祉〉も、ひとかわ剥(は)げば、その人自身か、その人にとって身近な人たちの利益をまもるための口実にすぎないのさ……』
 『だから、われわれは、現代の大人が言ったり、したりすることを信用できないんです。現代の大人が言ったり、したりすることをまねていたら、本当の意味の〈世界平和〉や〈全人類の福祉〉は、永遠に実現しないと思うんです』
 『じゃあ、どうしたらいいのかな?』
 『……そこで私たちは、(つまり、これからの少年少女は)なによりも最初に、無機物から食物を作ることの研究をはじめるんです。……これまで、植物しか知らなかつた光合成の秘密を解明することに挑戦するんです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 『なるほど、それで、その新しい食糧ができあがって、一切の動物や植物を殺さないですむ世の中になったところで、君たちの物語は、「めでたし、めでたし」となるわけだな』
 『冗談じゃありませんよ。そこまでは、この物語の発端です。西遊記でいうなら、岩の中に封じこめられていた孫悟空がゆるされて、三蔵法師の弟子になるまでの話。それから先が、天竺への長い長い大冒険の旅になるわけです』

 

 

 

 

 

 

 

 


 『それから先の大冒険の旅というと……?』
 『われわれは、〈神の王国〉の建設にかかるんです』
 『〈神の王国〉の建設?……それだったら、キリスト教徒が、二千年も前から考え続けてきたことでしょう』
 『でも、われわれが考えている〈神の王国〉の〈神〉は、キリスト教徒だけの神じゃあないんです。全人類に対して平等の神です。……全人類ばかりじやありません。あらゆる動物、あらゆる植物に対しても平等な神です。いや、それどころか、全宇宙のありとあらゆる存在に対して平等な神なのです』
 『いやあ、それは大変なことだ』

  『大変なことですとも。三蔵法師や孫悟空が天竺へ行った旅よりも、はるかに苦難にみちた、人類はじまって以来の大事業です。いや、大長編漫画というべきでしょうかね』
 『その前人未到の道をめざすストーリー漫画が完成するまでには、一体、どのくらいの年月がかかる予定かなあ?』
 「さあ、それはねえ……』
 その時、部屋の隅にあった電話のベルが、けたたましくなりだした。受話器をとりあげたアシスタントの少女が、けげんそうな顔つきで、用件をとりつぐ。
 『出版社から「締め切り時間までに間にあうか?」って、たずねてきましたけど……』
 『出版社?』
 例の女性が、「なんのことか、まるで見当がつかぬ」という表情をする。
 『……私たち、まだ、どことも出版の約束なんかしていないじゃないの。だのに〈締め切り時間〉だなんて……一体、なんていう出版社?』
 『ジュー社とかって……』
 『自由? リバティね……』『いいえ、そうじゃないんです。なんでも〈地の底から湧き出す〉意味だとか……』
 『あっ、わかった。それは、私のところにかかった電話だ』と〈私〉が叫ぶ。

 

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                  4   

 私は、今度こそ本当に、もとの私にもどった。
 つまり、一八九一年に、ロンドンでひらかれたヨーロッパの一流著述家たちの平和会議の内容が、いかにナンセンスなものであったか」ということを述べようとした
――あの時の私にもどったわけだ。
 実は、私は、それに引き続いて、一 八九九年と一九○七年に、オランダのハーグで開かれた、ヨーロッパやアメリカの、皇帝や国王や大統領たちによる〈万国平和会議〉が、いかにして失敗におわったか」ということも書くつもりだった。(当然、そこでは、現在、どこかで、毎日のように行われている戦争防止のための国際会議が、それとよく似ていることも論じたかった)

 それからまた、私の少年時代や青年時代に(それは第一次大戦と第二次大戦の中間にあたる時代だが)いかに多くの〈大人〉たちが、真剣に〈戦争の恐しさ〉を語り、「二度と戦争をしてはならない。われわれの手で、それを阻止しなければならぬ」と、くりかえし力説したが、にもかかわらず、それらの人だの努力が、いかにむざんに踏みにじられたか――という事実についても、具体的にくわしく語りたかった。
 ところが、どうしたことか、途中から恍惚(こうこつ)として、あらぬ方へ迷い出して、まったく取りとめもない夢物語りになってしまった。もう締め切り時間が目の前に迫っているのだから、今さら書きなおす余裕もない。
 いや、書きなおすひまがあったにしても、結局のところ、「現在おこなわれている平和運動や戦争反対運動は、そのほとんどが、百年前からくりかえし行われて来たものと同類であり、しかも、まったくなんの効果もなかったものだ」ということを強調せざるを得ないのである。
 正直のところ、トルストイが、文字どおり命がけで、心血をそそいで言いた〈神の王国は汝らのうちにあり〉ですらも、(その当時のヨーロッパやアメリカの有識者の心を震駭(しんがい)
させはしたものの――そして、間接的には、ロシア革命に大きな影響をあたえたには相違ないが)第一次大戦勃発のブレーキには、なりえなかった。

 では、一体、現代のわれわれはどうしたらいいのだろうか? トルストイが、自信に満ちて、あんなに高らかに預言した〈神の王国〉は、いつ、どうやって到来するのだろうか? 最後に、トルストイ自身に、その回答をのべてもらおう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

      われわれが知り得ることといえば、人類を成しているわ

     れわれが、この神の王国を到来さすために、なにをなすべ

     きか、なにをなすべからざるかーということだけである。

     それは、われわれのすべてが承知していることである。
      そして、各人がなすべきことを始め、なすべからざるこ

     とをするのをやめさえすれば、われらのうちに宿るその光

     のすべてによって生きさえすれば、各人の心が憧れている

     約束された神の王国は直ちに到来するのである。

              レフ・ニコラエヴィチ・トルストイ

 

   ​ All we can know is what we, as human beings,

     should do and what we must do to reach this

     kingdom of God. That is what we all know.

            And as long as each person begins what he or she

            should do and stops doing what he or she cannot do,

            and as long as he lives by all of the light that

            dwells in us, the promise that each person's heart

            longs for The kingdom of God will come soon.

                               

​              Ru-Lev Nikolayevich Tolstoy

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パンソフィア・ファクトフルネス・マインドフルネス・ワンネス・聖書暗号解読 

「戦争と平和」を書いたトルストイの白日夢を世界初公開

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    ━ 文豪トルストイが予言していた最終戦争直前に現れる別なもの】

「最終的な人類撲滅戦争の前夜、 ~中略~ その直前にそれを未然にくいと

 める素晴しく大きな力が出現する…( 松居桃楼「悪魔学入門」 本文より)」

   ━ノストラダムスが百詩篇第4巻31番で劇的に進化した新しい脳をもつ賢人

Sophe】の出現を予言していたことを五島勉氏が2020年逝去直前に解読

「これまで解決できなかったことも新しい脳の人達には解決できるようになる

 戦争も経済も愛憎も。そういう時代が来る…(kindle版あと書きより)」

● 戦争をなくすための、ただ一つの方法!?

● 世界はまだ終わらない、光あるうち光の中を歩め!

Tolstoy's vision hack  reveals for the first time in the world

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Thus Spake

 大法螺説法

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Digital archive of Toru Matsui

Ultimate Oneness

Ultimate factfulness

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Ultimate Vision Hacker

Also sprach  松居桃樓 这样说话

最終戦争直前に現れるトルストイの予言の「別なもの」

‟永遠の生命の奥義”とは?

世界はまだ終わらない、光あるうち光の中を歩め!

戦争をなくすため、私たちは何をなすべきか、なさざるべきか

 聖書に暗号で隠されていた

汎知性 VS 反知性 の最終戦争 勃発

フィロソファー(叡智者)が次々誕生する新世界

Ultimate Bible Decryptor

Ultimate mindfulness

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Decryption of Revelation

ベールをはがすと、真実は見えますか? の巻
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